クリスキット Chriskit パワーアンプ P-35M 完動品です。オークションで入手した動作不良品を整備したものです。P-35Mは、故桝谷英哉氏が企画販売していたクリスキットのVUメーター付トランジスタパワーアンプです。桝谷氏は1970年代初頭にP-35という型番でソリッドステートパワーアンプキットの販売を始めました。回路はJBLの著名トランジスタアンプに範をとった古典的でシンプルなものです。その後、回路はそのままで部品や定数を変更した35Ⅱに移行し、最終的に回路をブラッシュアップした35Ⅲに至りました。P-35MはP-35を元にVUメーターやヘッドフォン端子を装備し、ボンネットやシャーシーも意匠を凝らした豪華版でした。実用本位に徹していた桝谷氏にしては珍しく趣味性の高いキットでした。終段素子は、金田式アンプでも頻繁に使われたメタルキャン銘石2SA627と2SD188のシングルプッシュプルで出力は8Ω負荷で35W×2です。最終型のP-35Ⅲに比べて原理は同じですが終段バイアスを専用ダイオードでなく複数の直列トランジスタのBE間ダイオード特性を使うなど古さも見られます。ただ逆に大型電源トランスやメタルキャンブリッジ整流ダイオードの使用など後継機より優れた面もあります。整備にあたり信号系に使われていた標準型電解コンデンサをニチコンのオーディオ用Fine Goldに交換し、電源系で使われていたオイルコンデンサも特性の良いフィルムコンデンサに交換しました。また高域補正コンデンサの定数を後継機の値に変更しました。基板から終段素子に繋がる配線は全てやり直しました。整備後にDCバランスと終段アイドリング電流調整を行ないました。現在完全動作を確認しています。VUメーターは、1、10、20、35W切替になっています。ただ、通常使う小出力ではメーターの振れが小さいのでオプションポジションが設けられており、1W以下でも針を大きく振らせるように設定ができます。メーターの振れに若干左右差があります。ヘッドフォン端子は接続するとスピーカー出力はオフになる仕様です。音質は終段素子が大きく影響しますが、この個体も2SA627と2SD188の特徴が良く反映されています。中音域に厚みがあり奥行き感が良く出ています。女性ヴォーカルは魅力的な再生音です。P-35Mの販売台数は少なかったと思われます。お探しの方にお譲りできればと思います。出品内容は本体と雑誌に掲載された製作記事のコピーです。製作記事は今後の保守に役立つと思います。到着時に動作しない場合を除きノークレーム、ノーリターンとさせてください。ゆうパックおてがる版120サイズでの発送を予定しています。